【editorial】旅の恥は書き捨て#2
Would you like to buy a camera?

CATEGORY | 日記
POSTED | 2017/11/16
確かに奴はそう言った。

「would you like to buy this camera?」

このカメラ買いたい?
振り向くと、トレインスポッティングの兄ちゃんは取ってつけたような笑顔で、こちらにビデオカメラを振って見せた。
どうやら悪い奴でもなさそうだ。話だけでも聞いて見ようか。この慣れ親しんだハムステッドに悪い奴なんかいない。
タック・タイラーはポンコツ車に近寄ってみた。
トレインスポッティング野郎は「どこから来たのか?」とか「何してるんだ?」とか当たり障りのないジャブから打ち込んできた。やはり彼がよそ者だったことは明白だったようだ。タック・タイラーは微かに犯罪の匂いがしないでもない人物との接触にビビりながらも、極力平静を装った。 そしてトレスポ野郎はいきなり本題を切り出してきた。

「so, would you like to buy this camera?」。

曰く付きのカメラではありそうだが、どうみても新品ではないので、盗難品ではないと判断した。電源もちゃんと入っている。 実は、日本を発つ時、自分の稽古などを記録しておくビデオカメラが欲しいと、ちょうど思っていたところだったのだ。中古でもいいからビデオカメラが欲しい…。
まあこんな奴から買わなくてもいいが、「how much?」とからかい半分に聞いてみた。するとトレスポ野郎は 「200ポンド」とぬかしやがった。200ポンドといえば当時のお金で5万だ。それなら日本で中古を買ったほうがいい。「No thank you, I don’t have 200 pounds」。アメリカ育ちのタック・タイラーは英国アクセントを真似して答えた。 やっぱり帰ろう。
するとトレスポ野郎は「いくらあるんだ?」と食い下がってきた。あまりぶっきら棒に立ち去っても追いかけて来そうな雰囲気だったので、タック・タイラーは財布を取り出し、「200ポンドなんてないぜ」と紙幣を数えて見せた。
すると今度は「いくらならあるんだ?数えてみろ」と財布を指差しやがる。
「えっーと、100ポンドならあるよ」と咄嗟に正直に言ってしまった。ここで断っておくが、この短いやり取りの間、中古のビデオカメラはタック・タイラーの視野から外れることはなかった。
車中のトレインスポッティング組はヒソヒソ話をし始めた。

To be continued..
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